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2008年08月17日

日本一高い場所 その20

日本を代表する名景である「富士山」。

標高3776メートル。

ぼくは五合目(2400メートル)地点から登頂し始め、
1376メートルを歩いた。


しかし今度はこれを降りるのです…。



なんとか陽の出てるうちに五合目に着きたい。


ただそれだけを思い、降りて行った。

手にしていた杖も、登る際と降りる際では使い方が微妙に違う。

その対応にさえ、ぼくの体は上手く反応出来ていない。

腕や肩も痛くなってきた。

膝は笑ってるし、太ももパンパン、つま先激痛。


時間も時間だったのでまだまだ登ってくる人達が多く、
いろんな人とすれ違う。

学生さんや家族連れ、カップルや老夫婦など。

中でもこの日多かったのは、アジア系の集団。

タイ・フィリピン系の若い人達がやたら多くて、
ここが何処の国だか分かんなくなる感じさえした。


登りの際にも随分と歩きにくくて手こずった、
砂利道・岩場・サラサラなどのいろんな表情を持つ山道。

同じ道程を降りるのが、こんなに辛いとは…。


もうイヤだ。諦める。


何度そう思ったか。


しかし、どうしようもない。


別にロープウェイがある訳でもなく、車両がある訳でもない。
(高山病などの人に対応する為のブルドーザーはあったけど)


結局、自分でどうにかして何時間でもかけて降りるしかない。

誰も変わりには降りてくれはしない。出来ないのだ。


何度立ち止まり、座り込んだだろう。


山は友達だと、誰かが言っていた。


確かにそうかも知れない。


だけど、山はイジワルだ。


ドSだ。


すれ違う人達とも声を掛け合う。

こんにちわ・お疲れ様です・ガンバってください…など。

元気な人もいれば、ぼく同様にヘロヘロな人もいる。

あんなおじいちゃん・おばあちゃんは無事に登り切り、
そして何より降りられるのだろうか。

あんな怖がっている小学生の女の子は、
無事に下山出来るのか。

今あんなにテンション高いお兄ちゃんは、楽勝で登り切り
降りて行けるのだろうか。


富士山にはいろんな自然があり、そして人間がいた。


他人の事も気にするが、そんな場合じゃない。


すでにぼくの体がおじいちゃんの様になっているのだ。

そこらじゅうが激痛なのだ。

逆にぼくを気にしてほしいのだ。(うそ)


だんだん暗くなってきた。

どうやら明るいうちには降りられない。

電灯を手にし、杖も持ちながら、ただひたすらに険しい道を歩き続けた。

足をかばいながら歩こうとしても、必ずどこかに負担がかかり痛みが走る。


いくつかの休憩所で、腰を下ろし休憩。

しばらく休むとまた寒くなってきた。


また歩く。

休憩する。

また歩く。


何度かそれを繰り返すと、あんなに遠かった五合目が近づいてきていた。

時間はすっかり19:00を過ぎている。


この時間から明日のご来光を目指し登り始める集団が現れ、
やたらテンション高く足取りも軽く、ぼくと交差して行きます。


向こうには全く関係ないのだが、
ぼくの体はそこらじゅうが痛くおじいちゃんの様にヘロヘロなので、
なんかその元気さ・テンションの高さにイライラする。

…頭の中では何故か「グループ魂」が鳴っていた。
※「アイサツはハイセツよりタイセツ」「パッとしねえ」


そんなこんなですったもんだありましたが、いつかは辿り着くのです。

時間はすでに20:30。もう真っ暗の中、なんとか五合目に無事に着きました。


なんだろう。

登頂した時よりも達成感があった。

やり切った感があった。



下山時間、約5時間。(普通だと2〜3時間で行けるらしい)

この日、往復2752メートル。時間にして約12時間。


ぼくの「富士山登頂作戦」は終了しました。


普段から運動などせず酒ばかり飲んでいるぼくですが、
今回勢いで大胆にも富士山登頂に挑戦しました。


正直ナメていました。そして無計画でした。


結果ご来光は観れていませんが、
その途中にあるたくさんの素晴らしくて奇麗な景色・風景を観れました。


あんなに体中が痛くなったのも、久しぶりの経験だった。

その晩は富士宮市内にある「某スーパー銭湯」に宿泊したのですが、
あんなに気持ちよい風呂に入ったのもひさしぶりだった。


ここ数年、行動範囲の狭くなっていたぼくですが
久しぶりに貴重な体験・経験が出来たと思います。



追記:同行者はぼくより比較的ぜんぜん元気で、次の日にそのまま田舎に帰って行った。
   誘われましたが、ぼくはキッパリと断って電車でまっすぐ京都へ帰ってきました。
   今も体中が痛くてタイヘンです。


タグ :富士山

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Posted by リヤル at 14:44│Comments(2)な行
この記事へのコメント
いやいや、お疲れ様でした!
文章的になかなか読み応えのあるもので、
こんな書き方したら失礼かもしれませんが、
今年、どこも行っていない僕にとっては
大変、面白く拝読させていただきました。
いい経験できてよかったね。
僕もいつかは富士登山してみたいぞ!
Posted by トッシー at 2008年08月20日 12:17
コメントありがとうです。

無事に帰ってこれました。

体の痛みがやっとなくなりましたが、
今度は腕の日焼けで皮膚がボロボロです…。(泣)
Posted by リヤル at 2008年08月20日 21:37
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